前回の記事で、なおきちさんから『日本がスローになったらどうなると思います?』という質問があったのでちょっと書いてみます。
まず日本を「イタリア的スローな生活」に転換するにはかなりの労力、国家総力をあげて向かわなくてはなりません。
まず手短なところで、どのお店にも入り口に「すぐ戻ります」というメモ書きを用意する必要があります。几帳面な日本人はパソコンでプリントした紙を用意しそうですが、それではまだまだ「日本的スローな生活」レベルです。ポストイットに手書き、あわよくばチラシの裏紙に読めないような走り書きが好ましいです。お客さんにも大らかさが求められ、この紙を見たら、20分後かも知れない「すぐ」を気長に待つか、もしくは話し相手を捜しに近くを徘徊するような心の余裕が必要となるのです。
そして町・国をあげてのインフラ整備も大切です。信号機は常時「黄色の点滅」もしくは電源OFFにします。当然危険が伴うので小学校では「歩行者よりも車が優先、青は赤と思え、黄色も赤と思え」と教育する必要が出てきます。歩行者だけでなく運転手も「左折・右折時はウインカーを出しても出さなくても良い。なんならウインカーを出したまま直進するのも普通である」というマナーを身につけることが必須となります。
ネット社会にも大きな変化の波が押し寄せてきます。Amazonでは「最速1営業日かも、運悪ければ最大2週間」という但し書きが目に見えないような小さな文字で追記されます。宅配便もかなり大雑把となるので、不在届けなどは2回に1回しか残してくれませんし、配達状況追跡システムはいつもダウンしていて荷物がどこにあるかも分からないのです。自然とネット購入のメリットが失われ、町の活性化に繋がることになります。ただし、町の商店街はお昼休みが4時間あるので、買い物客は当初買いものに対してとてもナイーブになることでしょう。
JRや地下鉄、市内バスも過去に例を見ない大規模なダイヤ改正が必要となります。もしくはダイヤ自体を廃しすべきでしょう。山の手線は2本に1本を遅延するように調整すべきで、そうすると利用客の足が遠のき、不思議とラッシュアワーの混雑も減少します。3駅くらいなら歩く人も出てくるでしょうから、ひいては国民の健康向上、健康保険の税負担軽減と良いことずくめです。
技術の進歩にも変化が現れるでしょう。
例えば、あらゆる機器に高度なファジー理論が導入されます。駅の券売機ではお釣りが足りない場合「つり切れ」ランプを点灯する代わりに「適当な金額のお釣り」を計算ではじき出すシステムが採用されるでしょう。ドリンクやタバコの自販機では、10回に1度くらいはお札を飲み込んで商品を出さないような「温かみのある」機械の導入が待たれます。これからの高齢社会では機械やロボットには正確さやスピードではなく、ぬくもり・てきとう・不完全といったさらに進んだ技術が不可欠となるのです。
ま、かなり冗談を交えましたが、でも初めてイタリアに来た日本人にとって、この国はかなりのインパクトがあります。
数年前、イタリア人の友達に『日本とイタリアの全国民を一年くらい総入れ替えしたら、ほど良い国ができるのでは』と話したことがあります。すると彼は真顔で『イタリア人を甘く見てはだめだよ。3日で電車は遅延、町には吸い殻があふれ、町に落書きが増える』と答えました。恐るべしイタリア人。でもそんな緩い感じが魅力なんですよね。ハイ。
【2011年5月3日 堂 剛 - Tsuyoshi Doh】(写真:フィレンツェ Via dei Neri)
かなり楽しく読ませて頂きました。
日本を「イタリア的スローな生活」にするには、確かに国家的プロジェクトが必要になるかもしれませんね。
まず、子共の教育から。いいんです。算数の時間だけど、自分が作文を書きたいなら書いて。
以前、彼の仕事の関係で訪れたFirenze郊外の小学校は、そんな感じでした。
トイレの工事を頼んでも、いつ来るとも知れない業者さんを待ち続け、昨日は地下鉄のチケットを売っていたタバッキは、今日は扱わなくなり、「5分待ってて」の5分は15分になり、20分になり・・・・
でも、それが、いいんです。
そんなスローなイタリアですが、やる時はやります。GDPは堂々8位です。
日本の便利さも確かに世界に誇れるものかもしれませんが、膨大な消費電力等、犠牲にしているものも多いような気がします。
夏に見込まれる電力消費量を削減するために、1ヶ月のヴァカンスをとって、日本も思い切って「イタリア的スローな生活」を推進してみてはどうでしょうか?
と、菅総理に提言してみたくなりました。(笑)
ブログの更新をいつも楽しみにしています。
日本がスローになるためには、何よりも皆がもっと心の余裕を持つことが必要ですね。
5分や10分の遅延でイライラしているようでは、ましてや計画停電が計画通りに実施されなくて怒っているようでは、スローな国への道のりはかなり険しいと思います。
1年の入れ替えは無理でも、3ヶ月くらいイタリア生活を経験すれば、少しは「完璧ではないサービス」を受け入れられるようになるのでは。
そのほうがきっと、お互いに気が楽になりますよね。
読者暦は長いのですが初めてコメンします。
爆笑しながら読みました(笑)
面白すぎます(笑)
去年、イタリアに初めて行きました!
いろいろ困ったことも多かったけれど、それも懐かしいし、恋しいです。
そう、あの緩い感じが魅力なんですよね。また行きたいなーと改めて思いました。
イタリアの良い所を取り居れたら良い国、日本になると思います。バカンス1ヶ月…とかバールシステムなど…。
2月14日の日曜日。恋人達でいっぱいのヴェローナ。日曜定休のレストランはすべてしっかりお休みで、「おお〜っ、イタリアだなあ〜。」と感じたのを思い出します。
しっかり休んで、しっかり働く。って、素敵だと思うんですけどね。
そう思う私は、『イタリア人を甘く見ている』のでしょうか。
とても自然で人間らしいと思うのです。
イタリアで一年暮らしたら、人間観が変わるでしょうね。
あっ、私は最初からイタリア人ぽいので、人間観が変わるどころか確信をもつに違いありません。
これでいいのだ!と(爆)
そうそう、のんびりでも前にすすむんですよね。急いで走ると途中で息が切れることもありますしね。
> tuamicaさん
日本は人も社会も完璧を求めるので、なかなか大変だと思います。
> うさこさん
イタリアの緩さはほんとに魅力だと思います。でも旅行でなく毎日となるとなかなかハードル高いですよ。
そうですね。イタリアも日本を見習えば良いところたくさんあると思います。
> kitty_mさん
休暇でも仕事でも、何事にも真剣なのは良いことですよね。
> 愛ちゃんママさん
イタリアに一年住むと色々と新たな発見があると思います。イタリアが嫌いになってくる人もいるでしょうし、本当の部分が見えてくるでしょう。
楽しく読ませていただきました♪
海外にいくと驚くことは沢山ありますが、イタリアでも色々起こりそうな予感ですね^^;
ブログを楽しみつつ、旅の準備を進めたいと思います。
これからも読ませていただきますね!
今年のゴールデンウィークは、愛するイタリアとどっちにするか悩んだ挙句、フランスへ行きました。
イタリア感覚?でフランスに行ったので、メトロや国鉄の正確さに「日本みたいだ!」と心の中で驚いていました(笑)
ヨーロッパが遊びも仕事もバランスよく生活できるのは、白夜がひとつの理由かもしれないな。と今回思いましたが、どうでしょうか?(仕事終わった後も、22時近くまで明るいから、何かして遊ぼうと思いそうという意味)日本の日が長くても、やっぱり労働時間が長くなるだけなのかな??
今回の震災による原発事故後、計画停電によって電車本数が減っても、意外とやっていけることに気がついた日本人も多いはずです。少しずつスローな生活に向かって変わっていくんじゃないかな?と期待しています。
ローマ楽しんで来てください!
> オガさん
フランスはメトロが正確なんですね。でもパリではスリが多かったのにびっくりした記憶があります。町は綺麗な印象でした。
> コージさん
ジーロ・ディタリア、オルヴィエートがゴール&スタート地点ですね。僕も数回だけ生で見たことがあります。テレビ中継は景色が見られてイタリア好きにはなかなか楽しいですよね。
私は一週間滞在しただけですが、客室乗務員が来なくて帰りの飛行機が2時間ほど遅れました(笑)
日本だったら大問題ですよね(笑)
帰国して、日本のお店の接客が丁寧すぎて気持ち悪かったのを覚えています(笑)
イタリアの緩さは魅力的ですよ。
単にサボってるというより、
「人生を謳歌している」印象があります。
「人生の主役はおれなんだ」という強い意志のようなものも感じます。
イタリアスタイルを一人で取り入れてみたいと思います!!