新聞を読んでいて気になるニュースがありました。
それは、ナポリのゴミ問題(詳しくは「ナポリにゴミが集まる10の理由」)により、ナポリのあるカンパニア州名産であるモッツァレラチーズの売り上げが激減しているのだそうです。
昨年、ナポリのゴミ問題がニュースで大きく取り上げられ、その後様々な有毒廃棄物の不法投棄が発覚しました。ひどい映像では大量のアスベストが羊や牛が放牧されているすぐ脇に不法投棄されていて、地面にたまった雨水を飲んでいたりしています。この状況もテレビで大きく報道されました。
その後(3月20日)追い討ちをかけるかのように、モッツァレラチーズの一部製品から基準値を超えるダイオキシンが検出され問題になりました。韓国もモッツァレラの輸入を一時禁止したそうです。
モッツァレラは水牛の乳で作られますが、有毒廃棄物が投棄された土地の飼料を食べさせたのが原因と見られています。ただ人体への健康被害の確率はとても低く、農業管理団体(Osservatori regionale sull'Agricoltura)の調査によると、1日1.3キロのモッツァレラを15日続けて食べない限りは問題ないとのことです。いくら大食いで、いくらチーズ好きでもこの量は無理ですね。なのでまずは安心して食べて良いということでしょう。この風評によってモッツァレラの売り上げは40%〜60%減少したといわれています。
さて、ここでモッツァレラについて勉強してみましょう。
モッツァレラの語源は「mozzare=切り離す、切り取る」という言葉で、モッツァレラを作る時に親指と人差し指でチーズを切り取る製造方法に由来しています。今でもモッツァレラは手作業で作られています。
できたてのモッツァレラはジューシーでうっとりするくらい美味しいよ・・・
1996年6月12日にカンパニア州の水牛のミルクで作られたモッツァレラがDOP(Denominazione di Origine Protetta = 原産地名称保護制度)を取得しています。DOPとは品質管理と産品保護のための地域が指定されていて、一定の基準をみたす伝統食材にのみ与えられる品質保証ブランドです。ワインやチーズなどが一般的ですね。
モッツァレラの産地は90%がカンパニア州で、残りはラツィオ州とプーリア州だそうです。
年間3万3000〜3万5000トンの生産量があってそのうち16%が輸出されています。年間売り上げは3億ユーロ(480億円)、イタリア国内に33万5000頭の水牛が飼育されていて、2500棟の飼育施設があり、2万人の労働者を抱えているそうです。
ニュース速報!
昨日(2008年3月26日)、イタリアでも日本がモッツァレラ輸入中断のニュースが大きく放映されました。各国が輸入見合わせを始めて、酪農農家のダメージが心配です。安全が確認され無事に再開されるといいですね。。。
昨日(2008年3月26日)、イタリアでも日本がモッツァレラ輸入中断のニュースが大きく放映されました。各国が輸入見合わせを始めて、酪農農家のダメージが心配です。安全が確認され無事に再開されるといいですね。。。
タグ:ナポリ
自分がした不法投棄が環境にどんな影響を与え自分にそれが返ってくるか・・・。
エコ、エコっていうけれどいうのは簡単。
でも、本当に必要なのは自分の意識改革なんだなぁって最近思います。
それにしても。
出来立てモッツァレラ、日本ではなかなか手に入りません。
美味しいワインも・・・。
イタリア行きたくなりましたぁ!。
さて、本題ですが、食材の原産地にゴミが集まるのは問題ですねぇ。何とか改善してほしいと思います。しかし水牛の乳に問題があるということは、チーズだけではなく、ヨーグルトや生クリーム、バターも同様に売れ行きが下降気味なのでしょうか?
こんにちは、ツヨシです。
今回のゴミ問題はカンパニア州がスポットを浴びているので、そこの名産であるモッツァレラがやり玉にあがったという感じです。他の乳製品の売れ行きが下がったという話は聞いていません。バターや他の乳製品もほとんどが他の地域の牛乳を使っているので、今回の問題には直接関連していないと思います。ハイ。
モッツァレラについては前からちょっと気になっていたことがあるので、質問させていただきます。
モッツァレラはオリジナルは水牛の乳から作られている、ということを知ったのは、結構最近なのですが、ドイツで売られているものはだいたいが牛の乳で作られていてます。それで、水牛の乳で作られた「本物」はちょっとお高くなっているのですが、イタリアでは水牛の乳で作られたものが主流ですか?もしくは水牛の乳じゃないとモッツァレラという名前をつけてはいけないという決まりがあるとか?
モッツァレラ博士のツヨシです。←もちろん冗談
イタリアにもモッツァレラには水牛の乳と、牛の乳の2種類があります。どちらもMozzarellaという名前が付いているので乳はどちらでも問題ないようです。
ただ牛と水牛以外の乳でできたものはMozzarellaと呼べないでしょう(たぶん法律上も)。あと、もちろん水牛の乳か、牛の乳かはかならず明記してあります。味は完全に異なりますね。水牛の方が断然美味しいです。
イタリアのピザ屋ではメニューに「水牛のモッツァレラを使ったマルゲリータ」と「牛のモッツァレラのマルゲリータ」の2種類が置いてあるところもあって、値段も1.5倍くらい違います。ピザにしても味の違いは明らかです。ナポリのピッツェリアなどでは、何も書いてなくても水牛のモッツァレラを使っています。
詳しい説明ありがとうございました!
水牛と牛ではモッツァレラの味がぜんぜん違うというのは聞いていたのですが、今まで試したことがありませんでした。
自分が味オンチなのでどうせわからないかなあと・・・。でも、今度買ってみようかなあと思います。
ピザ屋でも、2つのモッツァレラを使い分けてるというのは初めて知りました。さすがピザと水牛の国(?)
こちらも今度負けじと水牛モッツァレラピザを作ってみたいと思います。
確かに乳製品は必ずしも水牛の乳からだけで作られるわけではないので、他の地域の牛さんにがんばってもらうということで取り合えずモッツァレラ以外の乳製品は確保されるわけですね。
ところで、このモッツァレラの話題ですが、とうとう日本でもOAされまして、どうやら23日から輸入を見合わせているとのことです。
日本や他の国が輸入中止を宣言してから、イタリアでもさらに話題になっています。本腰を入れて調査が始まっています。イタリアの食品安全性のチェック機能は高いので、きっと回復に向かっていくでしょう。